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SIer(エスアイヤー)とは?仕事内容や分類、SEとの違いをわかりやすく解説

SIerの下請け構造
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SIer(エスアイヤー)とはシステム インテグレーターの略称です。

システムインテグレーターとは、IT業界でシステム開発を請け負う企業を指します。

また、SIerがシステムを請け負い開発を事業とする企業であるのに対して、SEはそのシステムを構築するITエンジニアを指しています。

本記事では、大手SIerである富士通に7年在籍してきた筆者が、SIerについて経験をもとに解説していきます。

SIerがきついと言われる理由の実際のところについても紹介していますので、SIerに就職・転職を検討している人はぜひご覧ください。

監修者: 硯里 宏幸(株式会社アスターリンク代表取締役)

大手SIerである富士通のSEとして就職。その後、Webエンジニアとしてメガベンチャーへ転職。

現在は、独立しクラウドツールの開発・運営に従事。

SIer業界の中と外の両方で働いた経験をもとに監修しています。

SIer(システム インテグレーター)とは

SIer(システム インテグレーター)とは、IT業界においてシステム開発を請け負う企業を指します。

「System Integrator(システムインテグレーター)」の略称としてSIer(エスアイヤー)と呼び、日本独自の造語となります。

人やサイトによってはSIerを「SI企業」や「SIベンダー」、「システムインテグレーター」と呼びますが同じ意味となります。

具体例として、国内最大手SIerは富士通で、次いでNECやNTTデータといった企業が大手SIerで有名です。

また、システム構築を請け負う業界をSI業界と呼びます。SIerは企業や団体がお客様であるため、BtoB(Business to Business)のビジネスです。

後述しますがSIerの仕事内容は企業規模や成り立ちによって大きく違います

自分自身でどのSIerを選べば良いかを判断するのは非常に難しいため、マイナビIT AGENTのようなIT専門の転職エージェントから経歴や希望に合わせて紹介してもらう方が効率的でしょう。

SIerの仕事内容

SIerの仕事内容

SIerの仕事内容は、システム開発を請け負う仕事です。

具体的には、ご要望をもとに要件をとりまとめ、実現するためのシステム設計や開発、導入、運用を行います。

最近はクラウドが中心ですが、ネットワークやさーばーの設置も行います。

お客様によってはシステムに詳しくないプロジェクトもあるため、課題をヒアリングしながらシステムの要件を定義する場合もあります。

上記のSIerの仕事内容は工程を分け、プロジェクト推進をしていきます。

SIerの仕事における工程と具体的な仕事内容は下記のとおりです。

工程 仕事内容
要件定義 ご要望を実現するシステムの要件を取りまとめます
基本設計 画面・定時処理・データベース・ネットワーク構成などシステムの概要を設計します。SIerによっては外部設計と呼びます。
詳細設計 画面のボタンを押した時の処理や具体的な処理、DBのテーブル設計など詳細な設計を行います。SIerによっては内部設計と呼びます。
開発(プログラミング) プログラミング言語をもちいて開発を行います。業務系の多いSIerではC#やJavaが利用されることが多い傾向です。
テスト 開発したプログラムや機器のテストを行います。テストは検証内容に応じて単体テスト、結合テスト、シナリオテスト、負荷テスト等、さまざまなテストがあります。
導入 サーバーの設置、ミドルウェア・アプリケーションのインストールと設定、クライアント端末の設定等を行います。
運用・保守 お客様からの質問対応、不具合対応、改善要望の対応を行います。

プロジェクトの終盤は多くのITエンジニアが必要となり、大手SIerであっても人員が不足するため他社へ仕事を依頼することもあります。

連携する企業は、ハードウェアメーカー、ソフトウェア会社、プログラミング開発会社、通信キャリアです。

このようにSIer業界では下請けに発注する構造がありますが、下請けSIerがさらに下請けに発注するケースもあるためITゼネコンと呼ばれ、多重の下請け構造を問題視する声もあります。

SIerは大手企業・中堅企業・零細企業、直請け企業 で仕事内容が違う!

SIerはピラミッド構造になっているがゆえに、大手企業、中堅企業、零細企業で仕事内容が異なります。

大手企業を始めとする直請け企業はプロジェクトの初期段階から参入しますので上流工程、下請け、孫受けは人手が必要になる開発フェーズから参入するケースが多いです。

また、大手SIerのほうが市場価値・給料が高い仕事を中心に進めるので、利益率の高いプロジェクトが多いです。

工程 市場価値・給料 大手企業 中堅企業 零細企業 元請け企業(規模問わず)
要件定義
外部設計
内部設計
開発(プログラミング)
単体テスト
結合テスト
シナリオテスト

良い仕事は大手SIerが先に押さえてしまっているという現状があるため、それが社員の平均年収にも反映されている形となっています。

【SIerにスムーズに転職するコツ】

SIerは規模や種類によって働き方やキャリアが大きく変わるため、情報収集が大切です。

「未経験でもできるか?」「スキルがつくか?」と悩んでいる場合は、まずはIT転職エージェントに相談して進め方を決めるのも良いでしょう。

特に転職エージェントでは多くの人の退職・転職を見ているため、キャリア相談はもちろん、希望にあった求人紹介も具体的にアドバイスしてもらえます。

特にマイナビIT AGENTは、IT専門で担当者が詳しく、さらに無料で相談できます。

また条件の良い大手求人は非公開求人になっている場合も多く、今のうちに登録をしておくことで見逃さずに済みます。

合わなければすぐに退会できるため、気軽に登録してみましょう。

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SIerとSEの違いとは

SIerとSEの違いは会社と人の違いです。

SIerはシステムを請け負い開発を事業とする企業であり、SEはそのシステムを構築するITエンジニアを指します。

SIerとSEの違い

SEとはシステムエンジニア(System Engineer)の略で、読み方は「エスイー」です。

SEの仕事内容は顧客が望むシステムを形にする仕事です。

具体的な仕事内容は下記の内容があります。

  • 要件定義
  • 設計:外部設計、内部設計などと分けることがあります
  • プログラミング:別名、PG,製造とも呼ばれます
  • テスト:別名、試験とも呼ばれます
  • 運用:バックアップやセキュリティーサポート、QA対応を行います
  • 付帯作業:導入手順書や運用手順書などを作成します

SIerの仕事内容

上記の仕事内容を通して、お客様が要望するシステムを具体化し、開発して運用にのせる仕事がSEの役割です。

よく「SEとプログラマーとどう違うの?」と聞かれます。

SEとプログラマーの違いとして、SEはプログラミング以外の業務もする点が大きく違います。

  • SE:プログラミング作業以外もする
  • プログラマー(PG):プログラミング作業が中心

SEの方が作業範囲が広いため、プログラマーのキャリアアップとしてSEを目指す方も多いです。

SI、SIer、SE、プログラマーの用語を整理すると下表のようになります。

用語(略称) 読み 意味
System Integration(SI) システムインテグレーション(エスアイ) システム構築のこと。ソフトウェアはもちろん機器・端末・ネットワークの構築も含む。
System Integrator(SIer) システムインテグレーター(エスアイヤーまたはエスアイアー) システム開発を請負で開発する企業のこと。
System Engineer(SE) システムエンジニア(エスイー) SIerに在籍して請負でシステム開発をするITエンジニアのこと。
Programer(PG) プログラマー(ピージー) プログラミング作業を中心にするITエンジニアのこと。

SEを仕事にしたい人が注意すべき点としては、SIerの規模やプロジェクトの大きさによって同じSEでも仕事内容が大きく違います。

大手ほど、コンサルティングやプロジェクトマネジメントが中心となります。

では、SIerとSESの違いは何かを次で解説します。

SIerとSESの違い

SIerとSESの違い

SIer業界について調べていると「SES」という単語も聞いたことがあるでしょう。

SEとよく似た単語ですが、SEとSESは全然意味が違います。

SESはIT技術者がクライアントを支援する準委任契約(業務委託)のことで、契約形態の方法を指します。

SESを事業で行う企業をSES事業と呼びます。

SIerはお客様のシステム構築を担う事業会社ですが、SES事業会社はIT技術を支援する会社です。

  • SIer:システム構築をしてお客様に納品する。納品物を収めて売上が立つ。
  • SES事業会社:IT技術が必用なクライントにITエンジニアをアサインして支援する。作業をして売上が立つ。

つまりSIerは数ヶ月〜数年かけて納品物を作らなければ売上が立たないため非常にリスクあるビジネスです。

一方でSES事業会社は支援した工数分だけ毎月売上が立ち、非常にリスクが少ないビジネスです。

「じゃぁSES事業会社のほうが良いかも!」と考える人がいるかもしれませんが、実力がつくのはSIerです。

SIerからSES事業会社へ転職は可能ですがSES事業会社からSIerへの転職は正直「きつい」こともありえます。

転職における市場価値を高めたい方はSIer業界にいくことをおすすめします。

SIerの分類は5つ

SIerの分類

SIerは細かく分けると5個に分類することができます。

5つのSIerの分類や強み・弱みを表にまとめると下表のようになります。

 SIerの分類 成り立ち 特徴・強み 弱み 代表的なSIer
メーカー系SIer PCなどのハードウェアメーカーから独立 自社製品を使ってインフラ構築ができる。 大手電機メーカーは成熟しているため、大きな成長が見込めない NEC、富士通、日立
ユーザー系SIer 一般企業からの独立 もともと属している業界に強く、案件も親会社から受注できるため安定している 親会社が不景気になると大きく影響をうける NTTデータ、伊藤忠テクノソリューションズ
独立系SIer 親会社がない 親会社の縛りがなく、自由にプロジェクトや経営戦略が組める 会社の文化に合わない可能性ある 大塚商会、SCSK、日本ユニシス
コンサル系SIer ITコンサルタントに特価 SIの最上流工程を担当できる システム構築のスキル、マネジメント力で低め 野村総研(NRI)、アビームコンサルティング、フューチャー
外資系SIer 国際的なマーケットが舞台のSIer 海外勤務や国際的なプロジェクトを担当できる

キャリアが不安定

日本HP、Cisco、アクセンチュア、Oracle

1つずつ見ていきましょう。

メーカー系SIer

メーカー系SIerはパソコンなどのハードウェアメーカーの情報システム部門が独立した企業です。

代表的なのは日立や富士通、IBMなどが該当します。

自社のプロダクトも多く、取引先も多いため幅広い経験を積むことができます。

最近ではAmazonのAWSと中心としてクラウドサービスが普及しており、メーカー系SIerは売上が上がりにくくなっている一方で、銀行やトヨタ自動車などの大企業では今後もオーダーメイドの開発が求められるため悲観しすぎる必要もありません。

特に大手のメーカー系SIerでは品質・価格・納期のプロジェクト管理力が高いため、20代のうちに仕事の進め方を身につけるのはおすすめだと言えます。

ユーザー系SIer

ユーザー系というのは一般企業の情報システム部門から独立した企業です。

メーカー系のような業界の縛りはなく、商社や電力会社、携帯通信会社、銀行まで様々な企業から独立しています。

基本的には親会社からの案件受注がメインですが、外部企業から受注することもあります。

親会社の案件が多いこともあり、傾向として開発力やプロダクトに強みがない企業が多く、30代を超えてからの転職に苦労しがちとなります。

独立系SIer

親会社がいなくて独自の経営をしているSIerのことです。

業務としてはシステム開発の比重が高いですが、自社で開発したプロジェクトはそのまま保守・運用もこなしながら、追加案件を受注することも多いです。

ベンチャー的な要素も多くあるため、新しい技術やテーマも多く関わることができるでしょう。

独立系SIerの特徴は社長の考え方によって大きく変わるため、企業理念や社長メッセージなどをしっかり読み込み、心から共感できる企業に入ることをおすすめします。

コンサル系SIer

システム開発というよりも、経営戦略に沿った形でのIT技術の提案やコスト削減のためのシステム導入の提案といった最上流工程を担当するSIerです。

開発がメインではないため、人数も少数精鋭になる傾向があります。

システムの提案力が高いため、将来起業したい方はコンサル系SIerがおすすめです。

一方で激務になる傾向があるため入社前には企業の評判をしっかり確認しましょう。

外資系SIer

文字通り海外企業の資本で設立されたSIerです。

グローバルな展開をしている国際的な企業で、世界規模の案件に関わることも夢ではありません。

企業自体にブランド力があるため、世界を相手に活躍できます。

どのタイプのSIerを選ぶかによってキャリアが大きく変わるため、しっかり把握しておきましょう。

企業規模や年収から選び高い方はSIerランキングで紹介しているため合わせてご覧ください。

SIerのメリットとデメリットとは

SIerのシステム開発は要件定義、設計、開発という工程を踏んで進んでいきますが、工程が進むに連れて多くの人手が必要になります。

そのため、大規模なシステムの開発には数百人、下手すれば千人規模のエンジニアが関わることも珍しくありません。

そのため、大規模案件を1社では開発しきれずに下請けに発注するというのが通例になっており、これをピラミッド構造と呼びます。

建設業界でも同様の構造があり、ビルの建設を受注するのは営業担当だけですが、施工時には現場に下請けで多くの人員が投入されます。

SIerにおけるピラミッド構造には、メリットとデメリットがあります。

それぞれ解説します。

SIerのメリット

SIerにおけるピラミッド構造はIT業界の悪しき慣習といわれることもありますが、ピラミッド構造だからこそ大規模なシステム開発が可能になり、世界の経済を回しているという側面もあります。

そこには「ITエンジニアのリソース確保」「資本力」という2つの理由があるのです。

具体的なメリットとして以下の2つがあります。

  • 大規模案件に必要なITエンジニアの確保をしやすい
  • 大手SIerの資本力によりクライアントは安心して大規模案件を発注できる

それぞれについて解説します。

大規模案件に必要なITエンジニアの確保をしやすい

先ほど説明したとおり、システム開発というのは工程が進むほどITエンジニアが必要になります。

それだけのエンジニアを1つの案件だけに投入することは企業には難しいのです。

なぜなら、必要なタイミングでリソースを確保できないためです。

たとえば、開発時に最大で500人のエンジニアが必要になる案件があったとしましょう。

しかし、要件定義では50人、設計でも100人いれば十分な場合、自社で残りの400人のエンジニアを遊ばせてしまうことになります。

しかし、下請けに出せば400人は別の案件に回すことができますので、必要なときに必要なだけエンジニアを投入するのが容易になるのです。

大手SIerの資本力によりクライアントは安心して大規模案件を発注できる

システム開発というのは基本的に納品後に報酬が支払われます。

つまり、1億円のシステムを受注するためには、そのシステムが納品されるまでのエンジニアの人件費は先出しになるということになるのです。

小さな会社ではそこまでの人件費を先に持ち出すことは不可能でしょう。

下手したら資金が底をつきてプロジェクトが頓挫するというリスクもあります。

そういうときに、大手SIerがいるとクライアントも安心して大規模案件を発注できるようになります。

大手の資本力があるからこそ、大規模システムが出来上がるまでの見通しが立つということです。

これが日本の基幹産業である自動車産業が世界と勝負するためのシステムインフラ作りを可能にしていると考えれば、ピラミッド構造も悪い事だらけではないといえるのではないでしょうか。

SIerのデメリット

SIerのピラミッド構造のデメリットというと、企業が薄利で請け負ってしまってIT土方のような働き方になる点でしょう。

IT土方というのは短納期、低予算で受注することで一人ひとりの作業分担が極端に増えてしまい、長時間労働になってしまう状態のことです。

具体的に以下のデメリットがあります。

  • 請負企業は発注元に中間マージンを引かれ薄利となる
  • 請負企業は発注元の指示に従う傾向となりクリエイティブな仕事が少なくなる

ひとつずつ解説します。

請負企業は発注元に中間マージンを引かれ薄利となる

システム開発では下手すると下請けだけでなく、孫請け、ひ孫受けという見事なピラミッドができあがりますが、当然、下請けになればなるほど、報酬の取り分は減っていきます。

たとえば、直請け企業が1億の案件を受注して、3,000万円で下請けに発注、さらに1,000万円で孫請けに発注、という取り分になっていきます。

下請け、孫請けになるほど中間マージンが引かれますので利益は少なくなってしまうのです。

これは直接社員の給料に反映されます。

大手SIerの平均年収が高いのもこういった背景があるためです。

請負企業は発注元の指示に従う傾向となりクリエイティブな仕事が少なくなる

さらに、請負企業は自社の方針よりも発注元の指示に従う業務が多くなるのでクリエイティブな仕事が少なくなります。

たとえば、非常に細かい機能だけを請け負ったり、テスト要員として派遣されたりといったことが起こってきます。

こういった状況は、エンジニアのスキルアップという視点からもあまり有意義な仕事とはいえません。

SIerの将来性は?

SIerを始めとするSI業界は、今後さらに需要が高まっていくと考えられています。

年々加速する少子高齢化と労働人口の低下の影響から、デジタル技術を活用したDX推進が不可欠となっているためです。

多くの企業は社内のDX化をSIerに依頼しており、多くのSIerでは人材が不足しています。

IT人材の不足については経済産業省の調査からも明らかになっています。

SI業界の人材不足についてのグラフ

参考:IT人材需給に関する調査|経済産業省

上記の図からもわかるように、エンジニアは2030年には45万人も不足するという結果になっており、ITエンジニア不足は今後も慢性的に続く、ということです。

さらに、SI業界の今後のトレンドとして、AI(人工知能)やビッグデータ、IoTの分野は大幅に拡大する見込みとされています。

AIに関しては今後の「職業の在り方」を大きく変えるといわれるほどの分野で、これらの技術分野はSIerでも主流になっていくでしょう。

SIerは将来性がないという主張も見受けられますが、市場規模は年々拡大を続けており、将来性のある業界とあると言えます。

次は、システム開発を考えたときにSIerに依頼する方法を解説します。

SIerにシステム開発を発注する手順

SIerにシステム開発を依頼するには、依頼内容の決定・SIerへ相談・比較検討・SIerの選定といった流れになります。

まず最初に、構築したいシステムの背景や目的、必要な機能、予算、スケジュールといった要件を決め、ドキュメント化しましょう。

SIerに相談・見積もりをする際にドキュメントがあると齟齬がなくスムーズになります。

具体的な要件が決まったら、SIerに相談をしましょう。

相談するSIerは、ホームページや口コミなどを参考にして、専門としている分野や類似プロジェクトの開発実績があるかどうかなどをチェックしましょう。

相談するSIerは必ず2社以上にしましょう。

比較検討することでより良い条件を得ることができるでしょう。

また、中堅以上のSIerを必ず候補に入れることをお勧めします。

一般的に中堅SIerや大手SIerは費用が高い反面、資料の充実度や計画性、品質が高い傾向でより確実な仕事をします。

候補に1社あるだけで安心感が出るでしょう。

複数のSIerを比較してリサーチし、依頼するSIerを選定したら実際に問い合わせをして打ち合わせを行います。

この段階で、SIerから具体的な提案や見積もりを受け取り、内容を検討します。

複数のSIerに問い合わせをした場合は、見積もり金額やスケジュール、サポートの範囲なども比較して総合的に検討することが大切です。

依頼するSIerを決定したら、契約を締結しプロジェクトが開始されます。

プロジェクト開始後は定期的にミーティングや報告を受けることで進捗を管理します。

以上がSIerにシステム開発を依頼する手順となります。

ご自身でのSIer選びが難しい場合は、システム開発会社ポータルサイト「発注ナビ」に依頼すれば最適なSIer選びをサポートしてもらうことが可能です。

SIerに就職・転職するなら大手か直請けしているSIerがおすすめ

大手SIerか直請けしているSIerがおすすめ

SIerは将来性のある業界とはいえ、下請け企業に入ってしまうと給与面だけでなく技術面でも良いことはありません。

そのため、なるべく大手SIerかピラミッド構造の上位で直請けしているSIerに入ることをおすすめします。

その理由は具体的に以下のようなものが挙げられます。

  • ホワイト企業
  • 市場価値が高くなる
  • 給料が良い
  • 充実した教育体制とノウハウ

ひとつずつ詳しく見ていきましょう。

大手SIerは高待遇のホワイト企業である確率が高い

転職するなら大手SIer

大手SIerはコンプライアンスの関係もあり、基本的に待遇が良いホワイト企業が多いです。

残業時間にも細かい規定がありますので、月に100時間以上の残業をするようなことはよっぽどのことがなければ起きないでしょう。

大手SIer・直請けSIerは上流工程が担当でき市場価値が高くなる

大手SIer・直請けSIerが担当するのは上流工程がほとんどです。

要件定義、設計が終わればあとは下請けSEやプログラマーのスケジュール管理、他チームとの連携などがメインの業務となります。

必然的に管理者としての能力も求められるため、スキルもつき市場価値が高くなる傾向があるのです。

大手SIerは単価が高いため給料も高い

システム開発というのは「1人月(にんげつ)」という単位で契約します。

つまり、システムを開発するのに何人のエンジニアを何ヶ月働かせるのかで開発報酬を設定するのです。

たとえば、1人月100万円の企業だったら、100人月のプロジェクトは1億円かかるということです。

大手SIerのこのエンジニア一人あたりの単価が中堅、零細企業と比べても高いです。

当然、給料も高くなります。

大手SIerは教育体制と整い、ノウハウもある

大手SIerは教育体制もしっかり整えられているので、新人が入っても成長しやすい環境といえるでしょう。

また、その規模、歴史の長さからさまざまなノウハウが社内に蓄積されています。

仕事をするにしても、最適なノウハウを先輩社員や仕組みがフォローしてくれるので、自然と効率的な仕事の仕方を覚えられるでしょう。

SIerがきついと言われる理由

よくきつい、つらい職種として代表となるSEですが、SIer業界はブラックなのでしょうか?

SIerの問題としてよく次の5つが挙げられます。

  • SIerは3Kではなく7K?
  • SIerは成果主義ではなく、年功序列
  • 下請け構造(ITゼネコン)
  • 人材不足
  • SIerというビジネスそのものに対する問題

それぞれ紹介していきます。

SIerは3Kではなく7K?

SIerは帰りにくい?

過労死やうつ病の社会問題を特集するたびにでてくるSE。

本当に過酷なのでしょうか?

最近では劣悪な労働環境を3Kで表現しきれず、7Kとも言われるようです。

  • きつい
  • 帰れない
  • 給料が安い
  • 規則が厳しい
  • 休暇が取れない
  • 化粧がのらない
  • 結婚ができない

参考:SEは「7K」って本当?~労働環境の「りある」|アイティメディアID

実際はどうでしょうか。

私の意見は「SIerはすべて7Kではない」です。

事実、私の所属ではまったく7Kに該当しませんでした。

一部のSIerでは無理な長時間労働や徹夜など、テレビから耳にすることがあります。

しかし、これらは一部の行き過ぎた会社に感じます。

一方で、部署が違う同僚では

  • 帰れない
  • 休暇が取れない

など聞いたことがあります。

同じ会社にもかかわらず、上司が違うだけで過酷な環境となりうるのです。

そのため、よくブラック企業と言われますが、「ブラック上司」でないかどうかも大事です。

気になる方は面接時に社員の帰宅時間について確認してみましょう。

SIerは成果主義ではなく、年功序列

SIerは年功序列

IT業界は新しい制度で、能力さえあれば給与も大きく上がる成果主義と思う方は多いのではないでしょうか。

実際は本当の成果主義は一部の企業で、ほとんどの場合年功序列となっています。

SIerは定年退職者がいるくらい歴史がある会社もあります。

キャリアがわかりやすい反面、成果主義に夢をみないほうが良いでしょう。

成果主義ではないといってもSEの年収は他の業種と比べて高い傾向となります。

下請け構造(ITゼネコン)

SIerの業界人がよく問題にするのがSIerの「下請け構造」についてです。

下請け構造といえば建設業界のゼネコンが有名なため、「ITゼネコン」とも呼ばれます。

イメージとしては次のようになります。

SIerの下請け構造

大型案件は大手SIerが受注したあと、中堅SIerに下請けとして発注します。

受注した中堅SIerは、零細SIerや派遣に発注するため、多重の発注構造となります。

発注元が仕様やスケジュール、仕様を決めてしまうため、下請けや孫請けのSIerは次のような問題がでてきます。

  • お客様の顔が見えないため、やりがいを感じにくい
  • すでに決まったスケジュール内に決まった仕様のプログラムを納品する必要があるためリスクが高い
  • 下請けに発注するたびにマージンが引かれ、薄利となる

そのためSIer業界で働く人は、

  • 開発がしたい
  • プロジェクトマネジメントがしたい
  • お客様と一緒に仕事がしたい

といったように、どのような仕事をしたいかをよく考え、SIer選びをしましょう

ITゼネコンはSIerを検討するにあたり知っておくべきことです。

しっかりと理解しましょう。

よくわからない方はマイナビIT AGENTのようなIT転職エージェントへの相談がおすすめです。

人材不足

IT業界は20年以上も人材不足に悩まされている業界です。

最近ではDXがトレンドとなり、よりIT人材が深刻となっています。

競争力がないSIerは優秀な人材も集まりにくいため無理なプロジェクトを請け、負のサイクルを描くでしょう。

SIerというビジネスそのものに対する問題

SIerというビジネスの問題

IT業界は働く環境や制度などが先進的というイメージを持つ方が多いのではないでしょうか。

Googleやサイバーエージェント、DeNAなどよく聞くIT企業は華やかで新しい取り組みのニュースを良く聞きます。

ただし、SIerは残念ながら別です。

SIerはSEの働く時間に比例して売上があがる「労働集約型」のビジネスモデルだからです。

そのため、クリエイティブに挑戦する時間もほとんどありません。

アメリカでは企業が直接ITエンジニアを雇うため、日本のようにシステムを外注する文化は少なくSIerは珍しい存在となっています。

SIerとWeb系、転職するならどっち?

SIerかWeb系か

IT業界は大きく分ければSIerとWeb系に分別されます。

まず悩むのはこの2択でしょう。

結論からいえば、どちらが良い!というのは一概にいえません。

なぜなら、自分がどのしたいのか、というのが一番大きいからです。

たとえば、基礎スキル・ビジネスマナーを習得したいならSIerがおすすめです。

プロジェクト管理、見積もり、設計、クライアントとの折衝などのビジネススキルがつきます。

反対に、事業への興味が強く仕事のやりがいを求めるのであればWeb系がおすすめです。

スタートアップでサービスの収益化を考える、マーケティングなどの分野にも携わることができます。

ただし、覚えておいてほしいのはSIerからWeb系は転職可能だが、Web系からSIerへの転職は難しいということです。

両者は似ている業界でありながら、ビジネススタンスが異なります。

SIerのほうが日本的な企業が多いのに対して、Web系は比較的自由な社風ということもあります。

そのため、将来的にSIerにも興味があるのであれば、中途半端な気持ちでWeb系に進むのはおすすめできません。

SIerに転職する方法は内部に詳しい人にアドバイスをもらう

SIerに転職するおすすめの方法は、SIer業界と企業の内部に詳しい人にアドバイスをもらう方法です。

身内や知り合いに詳しい方がいる場合は積極的に相談し、応募前にも求人をチェックしてもらいましょう。

もし、身近にSIer業界の人がいない場合は、IT専門の転職エージェントに相談することがおすすめです。

転職を検討している状態であれば誰でも無料で転職エージェントに相談でき、キャリア相談もしてもらえます。

ただし、SIerであれば業界固有の知識を持ち合わせているマイナビIT AGENTといったIT業界に特化した転職エージェントを選びましょう。

さまざまの企業の退職・転職を目の当たりにしているため、企業内部の情報も詳しく把握しています。

大手のような人気の求人は非公開求人のケースも多いため、検討しているのであれば今登録だけでもしておくと求人の見逃しもなく安心です。

>マイナビIT AGENTの無料相談はこちらから

SIerについてよくある質問と回答

SIerについて解説するときによく聞かれる質問をまとめました。

SIerやWeb系、フリーランスエンジニアなど私が幅広い経験をしてきて得られた答えを回答していきます。

SIerはなくなるからヤバいと聞いたのですが本当ですか?

システムの請負開発をビジネスとしているSIerはなくなりません。

建築業界のように請負で開発するビジネスは一般的です。

「SIerなくなる」と言われて10年以上経ちますが、DXのニーズもあり需要は増すばかりです。

詳細は「SIerがなくなる理由とは?」をご覧ください。

SIerはどこがおすすめですか?

目的に応じてSIerを選びましょう。

SIerはユーザー系、メーカー系、独立系、コンサル系、外資系と種類があります。

年収の高さを優先するのであればコンサルティング系SIerのような営業利益が高いSIerがおすすめです。

分類ごとにランキング分けをしたSIerランキングもご覧ください。

SIerとWeb系のどちらがおすすめですか?

Web系は若手でも多くの経験ができ、挑戦と成長の機会が多くあります。

ただしWeb系ではキャリアのロールモデルがない、給料が低い、開発が場当たり的といったデメリットがあります。

一方でSIerは品質確保・進捗管理などのビジネススキルが身につき年収も高めです。

ただしストレスフルな仕事が多いです。

SIerとWeb系の仕事やキャリアの比較記事もぜひ参考にしてください。

まとめ

この記事では7年ほどSIerに関わった筆者が

  • SIerの意味
  • 仕事内容
  • SIerとSEとの違い

といった基本的なことから

  • SIerの市場
  • 種類
  • 課題

などを紹介してきました。

SIer業界に興味を持つきっかけとなれば幸いです。

【SIerにスムーズに転職するコツ】

SIerは規模や種類によって働き方やキャリアが大きく変わるため、情報収集が大切です。

「未経験でもできるか?」「スキルがつくか?」と悩んでいる場合は、まずはIT転職エージェントに相談して進め方を決めるのも良いでしょう。

特に転職エージェントでは多くの人の退職・転職を見ているため、キャリア相談はもちろん、希望にあった求人紹介も具体的にアドバイスしてもらえます。

特にマイナビIT AGENTは、IT専門で担当者が詳しく、さらに無料で相談できます。

また条件の良い大手求人は非公開求人になっている場合も多く、今のうちに登録をしておくことで見逃さずに済みます。

合わなければすぐに退会できるため、気軽に登録してみましょう。

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