IT営業の仕事内容とは?年収やきつい理由を解説
IT営業に転職や就職を検討している人は
「IT営業とは何?仕事内容や年収の相場を知りたい」
「IT営業はきついの?自分には難しいかな?」
「IT営業に転職したいけど資格必要なの?未経験でも転職可能なの?」
と気になっていませんか?
私は20代、ネットワークエンジニアをしていましたがお客様と相対する仕事がしたくIT営業に転職しました。
そしてNTT系企業でIT営業を2年ほどの経験があります。
この記事では未経験からIT営業に転職するときに知りたかった
- 仕事内容や年収、将来のキャリアのこと
- きついと感じた点や必要な資格・知識のこと
- 仕事の面白み
について紹介していきます。
IT営業は大変な面もありますが、年収も高めですし面白みも多くあります。
ぜひこの記事を一読して検討してみてください。
Contents
IT営業の仕事内容とは
IT営業の一例として、当記事では「大手通信会社の営業部」を例に解説します。
仕事内容は対法人に向けて専用線・クラウド・ソフトウェアを一括で提供する営業です。
まず、仕事内容を
- 新規開拓の営業
- 既存顧客への営業
- 社内業務
の3つに分けて紹介いたします。
新規開拓の営業
新規開拓はテレアポが中心の営業方法となります。
飛び込み営業はほとんどしません。
電話によるアポイントメント(面会約束)が取れ次第、
- 訪問・提案
- 見積提案
- 契約
と進めます。
IT営業はアプローチから契約締結までの期間が長い特徴があります。
そのため粘り強く対応することが必要です。
既存顧客への営業
現在取引のあるお客様に対して追加で商品の提案をします。
また、購入・納品後のアフターフォローも実施します。
既存顧客の営業は契約いただいてから納品までの期間も長く、その間にも定例会議などでのフォローが必要です。
社内業務
社内業務は
- お客様から頂いた注文を社内に流通させる業務
- 見積書作成やNDAの締結業務
- お客様の要望をとりまとめて社内の部署に流通させる業務
- 各案件の工程が予定通り進んでいるかの進捗確認業務
があります。
このようにIT営業はお客様先へ訪問をした営業活動だけではなく、ご発注いただいた内容がスケジュールどおりに、ご要望どおりに納品されるかまでも範囲となります。
また、契約に関する知識はもちろん、商品やサービスの詳細な仕様を把握して回答する必要があり、幅広い対応力が求められます。
IT営業の年収とキャリアパス
IT営業の年収とキャリアパスは人それぞれで変わってきます。
得意な領域に合わせてキャリアを選択し、その結果年収も変わるためです。
以下では新卒入社から活躍するIT営業のキャリアパスを一例としてご紹介します。
- 新卒22歳:年収330万 大学新卒でIT営業に就職 先輩と一緒にお客様を担当
- 入社2年目:年収350万 独り立ち お客様を2社任せてもらう
- 入社3年目:年収400万 半年間海外研修に行かせてもらう
- 入社5年目:年収500万 取引先から「うちに来ないか」と言われ迷う
- 入社7年目:年収550万 30歳を前に転職がちらつく
- 入社10年目:年収650万 主任に昇格 仕事もある程度自由にできる
- 入社15年目:年収700万 係長に昇格 出世ルートに乗った人とそうでない人の差が明確
- 入社20年目:年収750万 同期入社の6割がやめた
- 入社25年目:年収900万 課長に昇格
私がいた会社の王道のキャリアパスは上記の様な流れでした。
気になる方は転職エージェントや就活エージェントに相談してみましょう。
特定の企業に関する情報を持っているケースがあり、具体的に教えてもらうことができます。
IT営業はきついのか?
IT営業は正直きついです。
筆者も大変苦労しております。
ここではIT営業のきつさと、理由を紹介していきます。
きつい理由1:社内調整業務が多すぎる
IT営業はとにかく社内の調整業務が多いです。
具体例としてお客様にソフトウェアを販売するケースを例に説明します。
まず、契約締結の前段階として社内で下記の手続きを経る必要があります。
- 与信(不払い等の信用チェックや反社チェック)
- NDA(秘密保持契約書)のレビュー
- 見積り書作成
- 見積決済(この見積もりをお客様に提出してよいか社内決済を取ります)
次に、契約締結後の次に下記の社内対応を行います。
- 契約決済
- 社内に向けてサービスオーダーを流通させる
- 納品書の作成
- 完了書の作成
このようにお客様先以外での社内業務が多くあります。
お客様とのやりとりだけであれば簡単ですが自社の法務部門とお客様の法務部門でチェックが入るため、時間がかかったり非常に細かな指示が必要になります。
特に面倒だったのがNDAレビューです。(NDAレビューとは秘密保持契約書のチェックのことです。)
「NDAレビューなんてただ見るだけは!?」
と思われる方もいるかもしれませんが、大きな間違いです。
例えば、NDA(秘密保持契約)を社外と結ぶには次の手順を踏みます。
- 私:「この内容でNDAを結んでいただきたいです」
- お客様:「秘密保持契約期間をサービス終了から7年に変更してほしい」
- 私:「法務部に確認します」
- 私:「法務部さん、お客様がNDAの期間変更して欲しいそうです」
- 法務部:「了解しました」
- 私:「お客様、期間7年でOKです」
といった流れとなります。
上記の内容はスムーズに行った場合ですが、法務部がNGを出した場合はお客様の担当者や法務担当者とやり取りすることになります。
軽はずみにお客様とNDA締結してしまうと、他案件や今後の企業活動も契約において縛られてしまいます。
そのため、慎重にならざるを得ません。
よって、締結プロセスそのものが長くなります。
このような煩雑な手続きがIT営業では無数にあります。
きつい理由2:お客様からの無理な依頼
IT営業がきつい理由としてお客様から無理な依頼が来ることです。
無理難題を言われたことは、一度や二度ではありません。
たとえば
- 「納期を前倒しして欲しい」
- 「サービス仕様を変えてほしい」
- 「金額をもっと下げてほしい」
など、挙げればきりがありません。
私の場合、特にきつかったのが「納期を早めてほしい」という希望でした。
その時、扱っていた商材が「インターネットの専用線」でした。
「インターネットの専用線」は、納期を前納するにはすさまじい調整業務が発生します。
具体的には次のような業務が挙げられます。
- ネットワーク開通日を調整してくれる部署に調整を依頼
- ビルの管理会社と入館日の調整
- お客様側のベンダーとサービス開始日の調整
- 自部署の上長にイレギュラー対応の相談
- ケーブル敷設会社に無理を言ってお願い
といった調整が発生します。
当時の私の様子をはたから見ていると、制作会社のADのようだったと思います。
「頭下げてなんとかなるんやったら、なんぼでも下げたる」
そんな気持ちでどうにかこうにか前納できました。
IT営業はこのように泥臭い(頭を下げ倒してパワープレイで乗り切る)側面もあります。
きつい理由3:会社からのノルマ(目標)
IT営業がきつい理由として会社からのノルマが厳しいというものがあります。
やはり、会社が目標とする予算が高すぎるといったことがきつい理由です。
営業職の宿命ともいえることですがIT営業にもありました。
IT営業はタイミングの要素が大いに影響してきます。
お客様が求めていないタイミングで提案してもなかなか採用してもらえません。
加えて、私の職場では多くの数値目標がありました。
売上高・粗利・新商品販売数・契約期間・営業利益等々、それぞれに目標があります。
そして、複数の目標を同時に追いかけることは本当に大変でした。
以上、IT営業のきつさを3つにまとめて紹介しました。
ではどのような方がIT営業に向いているのか次で紹介いたします。
IT営業に向いている人とは
IT営業として勤務する中で、たくさんの営業パーソンを見てきました。
その中で私が感じたIT営業として勤務する中で活躍する人は次の3パターンです。
活躍するパターン1:元エンジニア
エンジニアから営業職に転身した人は活躍していた人が多かったです。
エンジニアの立場から見て、営業職として活躍するイメージがあるからだと思います。
エンジニアとしての知見はお客様の核心を射ることも多かったです。
さらに営業職としてお客様側のエンジニアと相対することも多く、その際もエンジニア同士だと話がスムーズで決定までのスピードも速い点が活躍しているポイントとなっています。
活躍するパターン2:マルチタスクが得意な人
IT営業は複数の事案を対応することが必要です。
そのため、マルチタスクをこなすのが得意な人が向いています。
マルチタスクをこなすのが苦手だと「仕事が無限にある状態」が続きます。
常に手いっぱいな状況で働き続けるため厳しく感じるでしょう。
会社側もIT営業にはマルチタスクが必要なのは認識しています。
そのため会社によっては「マルチタスク対応研修」なるものを受講させてもらえる場合もあります。
活躍するパターン3:社内営業力がある人
社内営業力がある人もIT営業に向いています。
言い換えると「丸投げしない人」です。
他部署に仕事をお願いする際に、背景共有や理由などを説明せずに仕事を振る人がいますがあまり良いとは言えません。
逆に、背景や理由、期日などをきちんと説明する人は、社内の協力を得られやすく、業務を円滑に進めることができます。
しっかりと情報共有をして、他部署ときちんと距離を縮められる人は優秀な方が多かったです。
以上がIT営業に向いている人の特徴でした。
次ではIT営業が求められるスキルについて紹介していきます。
IT営業で求められるスキルとは
IT営業で活躍するためには必要なスキルを保有している必要があります。
ここではIT営業で求められるスキルを5つに分けてご紹介します。
求められるスキル1:PCスキル(主にExcel)
IT営業の現場では、Excelが良く使われます。
契約書や見積書、請求書等、Wordを使用しそうな場面でもExcelを多用します。
そのため、Excel基本操作は必須です。
Excelのレベル感として、四則演算やVLOOKUP位までは使えるようにしておきましょう。
求められるスキル2:メール力
ここでのメール力とは
- 大量のメールをさばく力
- わかりやすく文章を書く力
を指します。
IT業界では「電話<メール」となっており、非同期通信が人気です。
多いときには100件/日のメールが飛んできます。
そのため、メールを見たら「読むだけ」「今返信する」「後で返信する」にすぐ分け、素早く処理することが必要です。
あわせて、わかりやすいメールを書くスキルも必要です。
IT営業として優秀な方はみなメールが読みやすかったです。
逆に、仕事に疑問符が付く方はメールが読みづらかったです。
求められるスキル3:ITに関する知識
ITに関する知識は営業であっても求められます。
もちろんITエンジニアほど必要なわけではありませんが、知っているほど活躍できますし楽です。
通信会社でしたのでネットワークの知識は必須でしたが、サービス内容によってはプログラミングのスキルやHTTPの仕組みなどが求めれることもあるでしょう。
会社からもITパスポートなどの資格取得を奨励されます。
ITに関する知識を身に着けてほしいからです。
求められるスキル4:英語力
IT営業は以外にも英語力を求められます。
ここでの英語力とは主に読み書きする能力です。
IT営業の現場では、メールやチャットなどの非同期通信がメインです。
そのため、英語での文章コミュニケーションができるとかなり重宝されます。
他にも、機器の仕様書を確認したり海外の最新の情報を引っ張ってきたりするため、英語の読み書きはできると圧倒的に有利です。
求められるスキル5:営業力
営業ですのでもちろん営業力は必要となります。
ここでの営業力とはお客様のニーズをしっかりとくみ取る力のことです。
IT営業では「お客様が何を言いたいのか分からない」というケースが頻発します。
例えば以下のような場合です。
- お客様自身でも求めている商品を自覚していない
- 話のレベルが高すぎてこちら側がついていけない
- (お客様と話していて)話が嚙み合わない
- お客様側でも要求する仕様(スペック)がはっきりしていない(丸投げしたい)
このようなケースにおいて、具体的なアウトプットをするためにはお客様のニーズを上手に引き出し整理し解決案を提案できる力が必要となります。
まずはお客様のニーズを引き出す力が求められることとなります。
このように紹介するとIT営業への転職は非常に難しく感じるでしょう。
次に、未経験からIT営業に転職可能であるかを解説します。
未経験からIT営業に転職は可能か?
結論からお伝えすると未経験からIT営業に転職は可能です。
私の肌感覚では中途の場合の転職は次のようなパターンです。

- エンジニアからIT営業になる:30%
- メーカー等の営業職からIT営業になる:20%
- 同職種の他社からの転職:40%
- 営業・エンジニアともに未経験:10%
つまり、IT営業の未経験者が転職した割合で見ると60%です。
簡単な仕事とは言えませんが未経験からIT営業への転職は十分に可能と言えるでしょう。
未経験からIT営業になる方法とは
未経験からIT営業になる方法は
- 転職エージェント
- 求人サイト
の2つがあります。
それぞれのメリットとデメリットをご紹介します。
転職エージェントのメリット・デメリット
転職エージェントの特徴は求人選びや採用選考にあたり担当者が付くことです。
そのため
- 求職者のキャリアや人間性、転職目的に合った企業を紹介してもらえる
- 応募先企業の内情を転職エージェントから聞くことができる
- 求職者の視野には入らなかった企業を紹介してもらえる
- 求職者の強み・弱みを第三者の視点で教えてもらえる
- 自分では知り得ない情報を知ることができる
- 無料で利用できる
といったメリットとなります。
逆に転職エージェントのデメリットは担当が付くゆえに
- 転職ありきで話をすすめられる
- 強引に求人を紹介されることがある
- 経験やスキルによっては仕事を紹介してもらえない場合もある
- 採用すると企業は転職エージェントに紹介料を支払う必要があるため選考評価がが厳しめになることがある
- IT営業以外の仕事をすすめられる場合もある
となります。
回避策としては複数の転職エージェントを利用することです。
各転職エージェントから提供された情報から客観的に評価して転職活動をすることでデメリットを避けることができます。
続いて、転職エージェントではなく転職サイトのメリット・デメリットをご紹介します。
転職サイトのメリット・デメリット
転職サイトは求人情報の一覧から自分自身で希望の求人を探し応募して転職するサービスのことです。
転職サイトのメリットは
- 自分のペースで転職を進められる
- 転職エージェントよりも多くの求人の量が豊富である
- エージェントと面談する手間がない
といったことが挙げられます。
逆に転職サイトのデメリットは
- 入社前に企業の情報を知ることが難しい
- 手続きをすべて自分でやる必要がある
- アドバイスが受けられないため、転職活動が独りよがりになりがちで失敗しやすい
- 未経験の場合、どの企業を受けてよいかわからない場合もある
- 履歴書や職務経歴書等をすべて自分で用意するため手間
といったことが挙げられます。
回避策としては転職エージェントも併用することをおすすめします。
担当者が付き知らなかった求人や転職事例を聞くことができるでしょう。
特にIT業界に特会したIT転職エージェントの利用がおすすめです。
筆者のおすすめは知名度が高いため有名企業や大手の求人が多いマイナビIT AGENTです。
求人の提案を受けることでIT営業の理解が深まるため、情報収集するためだけでも利用することがおすすめです。
ところでIT営業には資格があると有利になるのでしょうか?
次で紹介いたします。
IT営業に資格は必要か?
IT営業に資格は不要です。
実際に取得した資格が活かされるケースはほぼありません。
しかし、資格取得に際して得た知識は活かされる場合が多いです。
そのため、多くの企業で資格取得が奨励されています。
IT営業に人気の資格は以下の通りです
- ITパスポート
- ベンダー系資格(CCNA・LPIC・ITIL)等
- 自動車免許
- TOEIC
まず、ITパスポートはITについてざっくりと知ることができます。
営業職としてエンジニアやお客様とやり取りする中でIT全般の知見が必要となります。
そのために、ITパスポートは有効です。
続いて、IT営業として取得している人が多いのがベンダー系資格です。
CCNA(シーシーエヌエー)やLPIC(エルピック)、ITILファンデーション(アイティル)等が代表例です。
ベンダー系資格とはIT関連製品のメーカー(ベンダー)が、自社製品について適切な操作や管理技術を満たしていることを認証することを目的とした民間資格です。
ベンダー系資格はエンジニアから転職してきた人がもっていたケースが多いです。
ベンダー系資格は難易度が高いため、営業職の人が取得するのはレアケースです。
自動車免許はIT営業においても便利です。
とくに、インフラ系営業はネットワークルーターやスイッチなどの資材を運ぶ機会が多いため自動車免許はあると良いでしょう。
一般的にデータセンターは駅から遠く不便な場所にあるケースが多いです。
そこに、大きな資材を運ぶのはなかなか大変です。
最後にTOEIC(英語力)についても解説します。
IT営業で英語を使用する機会は思いのほか多いです。
NDA(秘密保持契約)レビュー・英文メール・仕様書の読解等、何かと英語を使用する機会が多いです。
私は英語が苦手でやり取りに時間がかかっていました。
特に読み書きが重要となります。
IT営業として活躍するのであればTOEIC600点位はあると便利です。
まとめ
最後までご覧いただきありがとうございました。
デメリットやきつい点も率直に紹介しましたがIT営業は面白い仕事だと思います。
例えば
- AmazonやGoogle、ServiceNowといった今を時めく企業と一緒に仕事ができる
- 海外出張に行ける(IT先進国のイスラエルやスイスに行ける機会もある)
- 企業イベントや展示会 への参加ができる
- 1億円を超えるような契約を担当できる
- 総務省や経済産業省とのやり取りができる
など経験してきました。

参考:インターロップ2020(ネットワーク機器の展示会)
やりとりする人々もリテラシーが高く、勉強になるケースも多いです。
そして、その体験は自己の資産となり転職する際にも役立ちます。
このようにIT営業は大変ですがやりがいがある仕事でもあります。
IT営業に興味を持ちましたら一度、転職エージェントに相談することがおすすめです。
無料で利用でき、求人を見ることで具体的に検討することができます。
おすすめはマイナビIT AGENTです。
ITに特化した転職エージェントで大手や知名度の高い求人も豊富にあります。
IT業界ですので年収も高い傾向にあります。
最後までお読みいただきありがとうございました。